駆除Info | なぜ害獣は発生する?原因と対策方法について 害獣

なぜ害獣は発生する?原因と対策方法について

日本は、国土の3分の2が森林のため害獣との距離が近いので被害が出やすいです。近年では害獣の被害が徐々に増え始めています。なぜ、近年になって被害が拡大してきているのでしょうか。害獣が発生する原因は、害獣によって異なりますが共通の原因もあります。

当記事では、害獣の発生原因と対策方法について詳しく解説しているので、対策の参考にしてください。

害獣が発生する原因

害獣が発生する主な原因は、以下のとおりです。

  • 個体数の増加と生息地の拡大
  • 狩猟者の減少
  • 耕作放棄地の問題
  • 里山の活動低下
  • 人間の餌付け・不法投棄

個体数の増加と生息地の拡大

近年、地球温暖化の影響で積雪量が減少しています。雪解けも早く気温の低い期間も短いため、体の弱い子供の死亡率も下がってきているのです。

そのため、個体数が徐々に増加しています。個体数の増加に伴い餌が多く必要になるので、以前よりも生息地が拡大しているのです。以前までは山間部に害獣が生息していましたが、エサを求めて人間が生活している平野部に降りてくるようになりました。

さらに、人間が住んでいる環境に適応して個体数を増やしているのです。

狩猟者の減少

現在、狩猟免許取得者が高齢化しており、免許取得者も以前に比べて減少している状況が続いています。免許取得者の高齢者の割合は、昭和50年で6%でしたが、令和元年には59%まで増加しています。狩猟では罠を使って害獣を捕獲しますが、罠を仕掛けると見回り作業も必要です。高齢者が山間部に仕掛けられた罠を見て回るには、負担が大きいため捕獲数も減ります。

また、猟銃を使って駆除する場合もありますが、高齢者が猟銃を扱うには危険が伴います。狩猟免許を持っていても猟銃を保有していない場合も多いので、個体数の増加の後押しにもなっているのです。

耕作放棄地の問題

耕作放棄地も害獣発生の原因です。耕作放棄地とは、以前までは畑など農耕用として利用されていた場所を再度利用することが困難な土地のことです。耕作放棄地は、昭和50年では13.1万haでしたが、令和2年には28.2万haまで増加しています。以前は農耕用として作物が栽培され管理されていましたが、高齢化や人口減少などの影響によって管理がされず荒廃する土地が増加しているのです。土地を持っている「非農家」の割合が多いため、農耕用としても使われずに荒廃が進んでいるのが現状です。

耕作放棄地は草が多く生えているため、害獣にとっては天敵から身を隠せる場所が多くあります。そのため、住処になりやすく害獣発生の原因になっているのです。

里山の活動低下

昔は山間部に近い場所で生活している人が多くいました。しかし、時代の流れと共に人口が都市部へ集中するようになり、里山で生活する人が減少しています。その結果、里山が荒れ、害獣が生息しやすい環境となりました。そのような背景から、山間部に生息していた害獣が多くの人間が住む平野部に近付いて来ているのです。

もともと害獣は警戒心がとても強いので、人間が住んでいる環境には近付いてくることはありません。しかし、人間が少なくなり活動が低下した地域には、害獣も警戒することなく近付いてくるようになったのです。平野部でも、住宅への侵入や農作物への被害が多く出るようになりました。

人間の餌付け・不法投棄

人間の行為が害獣発生の原因となっている場合もあります。餌付けや不法投棄は、害獣が人間の食べ物の味や匂いを覚えてしまうため、決してやってはいけません。しかし、現状ではそのような行為が過去にたくさん行われていたため、害獣が人間の住んでいる環境に足を踏み入れ害を与えるようになりました。餌付けや不法投棄は、害獣と人間にとってお互いのためになりません。可愛いから餌付けをする、車から食べ物のゴミなどを捨てるなどの行為は環境に悪影響を及ぼすだけでなく、害獣が発生する原因にもなっています。

害獣ごとの発生原因

害獣が発生する原因には、どのようなことがあるのでしょうか。

ネズミ

ネズミが発生する場所には、共通する4つの特徴があります。

  • エサがある
  • かじれる物がある
  • 巣を作りやすい
  • 温度変化が少ない

エサがある場所にはネズミが発生しやすいです。木材などをかじることで、前歯を削るという本能もあります。冬場でも暖かい場所は、子育てがしやすい環境です。餌が豊富で冬でも暖の取れる条件が揃っている場所は自然界では少なく、都市部に住み着くことは好都合です。ネズミは自然が近い所で発生するイメージが強いかもしれませんが、条件が揃っていればどこでも発生するので注意してください。

ハクビシン

ハクビシンが発生しやすい条件は以下の2つです。

  • 通気口が破損している
  • エサがある

ハクビシンは家屋の中に侵入し、住処とする習性があります。建物への侵入口となるのが通気口です。通気口は建物の中と外の距離が近いため、簡単に侵入することができます。

また、嗅覚が優れているハクビシンは、エサのニオイを嗅ぎつけるのが得意です。外に生ごみなどを放っておくと、ハクビシンが寄ってきやすいので気を付けましょう。

イタチ

イタチの発生原因は以下の2つです。

  • 建物のすき間
  • エサがある

イタチはハクビシンと非常に似ています。

しかし、イタチはハクビシンよりも小柄な体型をしているため、少しのすき間でも簡単に侵入することができるのです。ハクビシンの主な侵入口は通気口ですが、小柄なイタチは瓦屋根のすき間でも侵入することができます。また、嗅覚も優れているので生ごみなどの匂いが強い物は近くに置かないようにしましょう。

シカ

シカの発生原因は以下の2つです。

  • 森林伐採
  • 手入れ不足

シカの被害は全国的に問題となっており、主に農作物の被害が多く出ています。その原因として、森林の伐採と手入れ不足が挙げられます。森林が伐採されることでシカのエサとなる草が無くなり、農作物を食い荒らすようになりました。一方で、手入れがされていない耕作放棄地などがあるため、それらをエサとして子供が繁殖するようになったのです。シカの被害は日本でも非常に多いので、森林の手入れなどをしっかりと行うことが重要です。

イノシシ

イノシシの発生原因は、天敵がいないことです。

イノシシの天敵はオオカミや人間ですが、オオカミは日本に生息していません。また、人間も山間部で生活する人が減少してきているため、イノシシにとっては天敵が少ない環境です。他にも、狩猟を行う人口の減少も影響しています。イノシシは農作物を食い荒らす害獣として扱われ、駆除の対象となっているのです。しかし、近年狩猟を行う人口の高齢化と減少が問題となっており、イノシシを駆除する人が減っています。そのような背景が、イノシシの発生の原因にもなっているのです。

対策方法

害獣が発生しないように、効果的な対策はどのような方法なのでしょうか。

家の周りの手入れを怠らない

家の周りの手入れをしっかりと行うことは、害獣の発生を防ぐことができます。家の周りに生ごみが置いてある、雑草が生い茂っているなど、乱雑な状況だと害獣が寄ってきます。いらない物は置かない、草木の管理は徹底して行うことが害獣の発生を防ぐポイントです。

エサになる物を置かない

生ごみなどのエサとなる物を置かないことも大切です。生ごみは害獣にとってエサとなるため、外に置いておくと寄ってくる可能性があります。害獣の多くは嗅覚が発達しているので、生ごみなどの匂いが強い物は置かないようにしましょう。

忌避剤を設置する

忌避剤の設置も対策として非常に効果的です。害獣は嗅覚が発達しているため、苦手な匂いがすると寄り付きにくくなります。ニンニクや木酢液などの刺激の強い匂いは特に敏感に反応するので、効果的に忌避剤を使いましょう。

地域の協力

害獣予防には、地域の協力が不可欠です。耕作放棄地を減らすためには、地域農業の担い手たちが中心となって話し合うしかありません。また、狩猟者の育成も同様です。狩猟者の人口は年々減少傾向にあり、高齢化が進んでいます。そのため、地域の狩猟者の育成をしていく必要があるのです。

まとめ

時代の変化と共に人間の生活環境が変化し、害獣も発生しやすくなっています。原因は害獣によってさまざまですが、解決策が無い訳ではありません。害獣の被害は放っておくとどんどん大きくなります。地域間で協力することが、害獣の発生を防ぐ効果的な方法です。当記事を参考にして、害獣発生の防止の参考となれば幸いです。

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