駆除Info | コウモリが媒介する病原菌・ウイルスについて解説 コウモリ

コウモリが媒介する病原菌・ウイルスについて解説

コウモリは、狂犬病やエボラ出血熱などのさまざまな病原菌・ウイルスを保有しています。コウモリが保有する病原菌やウイルスは、人間に感染し害を与えるものばかりです。特に、狂犬病は死に至る可能性がある危険な病気ですが、外にも多くの危険な病原菌やウイルスを保有しています。

今回は、コウモリがどのような病原菌・ウイルスを保有しているのか詳しく解説します。

また、どのような経路で人間に感染する可能性があるのかも解説しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

コウモリが媒介する病原菌・ウイルス

コウモリが媒介する病原菌やウイルスには、以下のようなものがあります。

狂犬病

狂犬病はアフリカやアジアなどで特に多く発生している感染症です。狂犬病ウイルスを病原体として、動物から人にも感染する「人獣共通感染症」として知られています。水を恐れるという特徴的な症状があることから「恐水症」とも呼ばれ、感覚器官に影響を与える症状が目立ちます。

世界で5万人以上が感染している病気で、日本でも1950年以前は多くの感染者がいました。狂犬病のほとんどが「犬」からの感染ということが分かり、現在では犬の飼い主が届け出やワクチンの接種を義務付けられています。

しかし、コウモリも狂犬病ウイルスを保有している個体が存在し、直接噛まれたり引っ掻かれることで感染する可能性があります。また、家畜やペットなどに狂犬病ウイルスがうつることによって、人間にも間接的に感染する可能性があるのです。感染すると高熱や倦怠感などといった症状が現れ、致死率が極めて高い病気です。

アルボウイルス

アルボウイルスは、ダニやノミなどの節足動物で増殖をするウイルスです。ウイルスを保有した節足動物が脊椎動物を吸血すると感染します。アルボウイルスは単なる総称で、「チクングニアウイルス」「デングウイルス」「ジカウイルス」など、さまざまな種類があります。ウイルスによって症状はさまざまですが、高熱、出血、関節痛、倦怠感などといった症状が見られます。ウイルスが増殖する「節足動物」には、さまざまな生物が含まれます。ダニ、ノミ、蚊などは節足動物で、身の回りに数多く生息しています。コウモリに付着した節足動物が、いつの間にか人間に付着する場合もあり感性経路が分かりずらいので注意が必要です。

ハンタウイルス

ハンタウイルスは、齧歯目(げっしもく)を宿主として増殖するウイルスです。しかし、コウモリもハンタウイルスを保有している場合があります。宿主である齧歯目やコウモリには影響がありませんが、人間に感染すると「腎症候性出血熱」を引き起こし、腎不全、発熱、頭痛などの症状が現れます。

特に感染が多いのは中国で、1950年以降約100万人以上の感染者と4万人以上の死亡者が出ました。ハンタウイルスが含まれるコウモリの排泄物が粉末となって空気中を舞い、吸引することで感染します。コウモリに住みつかれた場合、糞尿がたまる前に駆除をしておきましょう。

ヒストプラズマ症

ヒストプラズマ菌は普段土壌に潜んでおり、コウモリの糞の近くで増殖します。土壌にコウモリの糞が含まれると増殖しやすく、粉末となって空気中を漂うことで感染します。症状は「急性肺ヒストプラズマ症」「慢性肺ヒストプラズマ症」「播種性肺ヒストプラズマ症」の3つです。

急性の場合は重症化しやすく、最悪の場合は人工呼吸器が必要になります。悪寒や頭痛、発熱などの症状なども見られ、症状は重い場合が多いです。

慢性の場合、急性より症状は軽いですが微熱や食欲不振などの症状を伴います。呼吸器疾患の方がなりやすい病気ですが、症状はそこまで重くはありません。

播種性の場合、高齢者、HIV患者など、免疫機能が弱っている方が多く発症します。微熱、食欲不振、リンパ節腫大などの症状が現れますが比較的軽度な症状が多いです。

ニパウイルス感染症

ニパウイルスが原因で感染する感染症で、日本では動物や飲食物などから人に感染する4類感染症です。主な宿主はコウモリですが、豚への感染も確認されています。豚から人への感染も報告されており、人間に感染すると脳炎などの症状を引き起こすので危険な感染症です。脳へウイルスが侵入することにより、免疫の過剰反応により脳に炎症が起こります。脳炎の主な症状は頭痛、吐き気、めまいなどの軽度な症状から、痙攣やしびれなどの神経的な症状です。

致死率が高く、発症患者の5割は命を落とすといわれています。コウモリから豚への感染が確認されているため、豚農家が豚を経由して感染する事例が多いです。国外ではコウモリからの直接感染の事例もあり、非常に警戒されています。

エボラ出血熱

エボラ出血熱は主にアフリカで発症している感染症ですが、毒性が強く致死率が高いため世界的にも警戒されている病気です。エボラウイルスにより感染し、全身の倦怠感、頭痛、発熱、関節痛などの風邪によく似た症状から始まり、嘔吐や下痢、結膜炎などの症状も現れます。発症者の致死率は5割以上と高いため、早期の治療が必要です。

感染源はコウモリが有力で、コウモリとの直接接触や糞尿などの排泄物が粉塵となって空気中を舞い、吸い込むことで発症する可能性が高いと考えられています。人間から人間への感染事例も報告されており、感染者の排泄物や死体などから感染します。

感染経路

コウモリから人間に感染する場合、どのような経路で感染するのでしょうか。主な感染経路は以下のとおりです。

直接噛まれる・引っ掻かれる

コウモリから直接噛まれる、または引っ掻かれることによって、菌やウイルスが体内に侵入すると感染症にかかる可能性があります。日本では、コウモリから直接噛まれたり引っ掻かれたりすることで感染症にかかる事例は稀です。しかし、コウモリを直接素手で触れようとする行為は大変危険なのでやめましょう。下手に刺激すると威嚇をして襲いかかってくることがあるので注意してください。

空気感染

空気感染でも感染症にかかるリスクがあります。コウモリは排泄を一日に何度も行う動物です。糞尿の量は蓄積すると相当量たまります。たまった糞尿にカビが生え胞子となり空気中を漂い吸い込むと感染症を引き起こすのです。

コウモリの糞で増殖した細菌やウイルスを吸い込むと、肺炎を引き起こす可能性があります。発熱や頭痛などの風邪とよく似た症状の他にも、痙攣などの神経系の症状にも発展するケースもあるので注意が必要です。

ダニ・ノミなどを経由

ダニやノミからも感染することがあります。コウモリに付着しているダニやノミは吸血する際に細菌やウイルスも一緒に取り込むため、吸血すると病原菌を媒介する恐れがあります。ダニやノミは小さいため見えにくく、目視しづらいので注意しましょう。ダニやノミは、ペットも吸血するため気をつけなければいけません。定期的に掃除をすることで、被害の拡大を抑えることができます。

まとめ

コウモリは、さまざまな細菌やウイルスを媒介します。日本での影響は多くはありませんが、ゼロではないので注意が必要です。コウモリを見かけても、絶対に素手で触れてはいけません。駆除する場合は業者に依頼するか、専用の道具を持参しましょう。もし、コウモリから噛まれたり引っ掻かれたりした場合は、速やかに病院へ行って診察してもらってください。

参考文献:

狂犬病 厚生労働省

狂犬病について

アルボウイルス

ハンタウイルス

ヒストプラズマ菌

ニパウイルス感染症

エボラ出血熱

エボラ出血熱 国立感染症研究所

感染経路

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