北米からペットとして輸入され、今や日本全国に生息するアライグマ。
アニメなどの影響でかわいらしい印象を抱いてしまいますが、実はアライグマは立派な害獣です。
家庭菜園で育てている作物を食い荒らされたり、うっかり近付いて噛みつかれてしまったりといった被害は多く見られます。
今回は、アライグマの生態と危険性について解説します。
アライグマってどんな動物?その生態を解説
アライグマの特徴
他の動物と間違えられやすいアライグマですが、特徴を知っていれば簡単に見分けられるはずです。
アライグマの毛皮は灰色で、顔にはマスクのような黒い模様があります。タヌキと違って尻尾はしましま模様。
前足の指が発達しているため手の形は人間に少し似ており、歩く際はかかとが地面に接触します。
アライグマは、日本における害獣の中で大きな部類に入ります。
体長は40〜60cmで尻尾の長さが20〜40cmあり、体重は4〜10kg。平均的な家猫よりふた周りくらい大きい動物です。
アライグマの住処
環境省による2006年の調査では、36都道府県にアライグマが生息していることが判明しました。現在ではほぼ全国に分布しているため、日本中でアライグマの被害が見られます。
アライグマは森林里山や都市部での活動も確認されており、寺社仏閣や人家の屋根裏に住み着いて悪臭や食害を人間にもたらすケースもあります。
特に人間の家は雨風の影響を受けず、冬でも温かい場所です。
さらに壁の断熱材を巣にできるので、アライグマにとって住宅は好条件の環境なのです。
アライグマの食性
アライグマの主食はネズミや水中の小動物、卵、果実などです。
それ以外にも肉類(小型哺乳類、野鳥)や野菜・果物、穀物、昆虫などを食べますが、人間の食べ物も好みで、都市部では生ゴミや放置してあるペットフードも餌としています。
アライグマが場所を問わず生きていけるのは、幅広い食性が理由の一つと言えます。
アライグマの繁殖
2歳以上のメスは1回の交尾でほぼ100%妊娠します。つまりアライグマの妊娠率は9割以上なのです。
出産シーズンは4~7月で、1回の出産でメスは平均して3~5頭の子どもを産みます。
アライグマの社会は1匹のオスが複数のメスと交尾する一夫多妻制で、1度の交尾で妊娠しなかったメスは別のオスと交尾をし、夏に出産を迎えます。
ケガだけじゃない!アライグマの危険性について
アライグマの性格は?人間を襲う?
人間の近くで何十年も暮らしてきたため、アライグマは野生動物にしては警戒心がありません。近づけば逃げていきますが、餌を食べている最中なら2m以内には接近できます。
しかし、アライグマは凶暴な性格で人には全く懐きません。
ペットとして飼育されていた個体も、成長と共に手に負えなくなり飼い主を攻撃するようになります。
アライグマが人間を積極的に襲うことは通常ではありませんが、驚かせたり追い詰めたりしてしまうと、興奮したアライグマに噛まれる恐れがあります。
アライグマを見つけても絶対に近寄らないでください。
壁を食い破りペットを食べる
アライグマは鋭い爪と牙だけでなく、非常に強い顎の力を持っています。
もろくなった木造住宅の壁や床を食い破るのはお手の物、人間の指を食いちぎることも可能です。
もちろんペットも例外ではありません。
アライグマの捕食対象である鳥や金魚、ハムスターなどの小型動物だけでなく、散歩中の犬が噛みつかれたり、猫が怪我をさせられたりする可能性は十分にあります。
海外では凶暴化した野生のアライグマにより、猫10匹が殺されるという事件が発生しています。
日本国内でも2011年に兵庫県内で、犬を散歩させていた飼い主が襲われる事件がありました。
アライグマがもたらす感染症とは
害獣の例にもれず、アライグマもウイルスや寄生虫と無縁ではありません。
アライグマが原因で発生する病気として、アライグマ回虫症、レプトスピラ症、狂犬病などが挙げられます。
アライグマ回虫症はアライグマの糞便に汚染された土から、レプトスピラ症は尿から発症します。
また、狂犬病は感染した動物に噛まれた傷から感染し、その致死率はほぼ100%。治療方法は未発見という恐ろしい病気です。
このように、アライグマは直接的にも間接的にも接触を避けた方が良い危険な動物と言えます。
まとめ
アライグマの生態と危険性について説明してきました。
アライグマは農作物への食害や建物を糞尿で汚すだけでなく、凶暴な性質を持っています。
人間だけでなくペットにも危害を加え、病原菌や寄生虫によって健康を損なう可能性まであります。
凶暴なアライグマですが、外来生物法と鳥獣保護法によって守られているため、無許可での捕獲や駆除を禁止されているのが現状です。
もし現在アライグマの被害に遭っている場合、自治体への相談や駆除業者への依頼を検討することをオススメします。