ハクビシンはとても鋭い嗅覚を持つ動物です。対策の中には天敵の臭いや刺激臭など、嗅覚を利用した方法がいくつもあります。
「ハクビシンが強い臭いを苦手としているなら市販の線香で駆除したら経済的なのでは?」
とお思いの方もいるのではないでしょうか。
当記事では、市販の線香がハクビシンの駆除に有効なのかを解説します。線香の他にハクビシンが苦手とする臭いも紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
ハクビシンに有効な線香の種類とは
ハクビシンは鳥獣保護管理法で守られています。そのため、線香を使ってできる駆除は被害の予防と既に住み着いているハクビシンの追い出しだけです。
仏事用線香
線香の主な原料は、タブの木を粉末にしたタブ粉です。タブ粉を水で練り、白檀や麝香などの香料を加えて線香は作られています。
タブ粉は燃やした時の匂いが弱いため、いくら線香を焚いてもハクビシンに効果はありません。仏事用線香は一本が細いため、煙の量も後述する蚊取り線香や害獣避け線香に比べると少ないです。
日常的に線香を焚いているお寺や一般家庭の仏間でも、ハクビシンの被害は報告されています。つまり、一般的な仏事用の線香に害獣駆除の効果は全くないと言えるでしょう。
蚊取り線香
蚊取り線香に含まれるピレスロイドは、天然の殺虫成分ピレトリンに似た合成化合物です。ピレスロイドは昆虫や両生類、爬虫類の神経細胞に作用しますが、哺乳類や鳥類は体内でピレスロイドをすぐに分解し、汗や尿として排出してしまうので毒性はありません。屋内に煙が充満したり、乳幼児が煙を吸ったりしても安全に作られているのです。
蚊取り線香の煙や臭いでハクビシンの駆除はできません。しかし、殺虫効果が効かなくても蚊取り線香の臭い自体を嫌がって逃げる可能性はあります。蚊取り線香を使ってハクビシンを追い出す場合、屋根裏などの屋内で長期間焚き続ける必要があります。
害獣避け線香
害獣避け線香はカプサイシンが含まれるだけでなく煙の量も多いので、ハクビシン駆除に十分な効果を期待できます。
使い方は簡単で、ハクビシンの行動範囲に設置するだけです。人体に対する危険性があるので、扱いには注意が必要です。
屋内で使用しない、周りに人や動物がいないか確認する、煙を吸い込まない、直接触らないなど、ハクビシン駆除に害獣避け線香を使う時は注意してください。住宅街で使用する時は近隣住民とのトラブルを防ぐため、事前に害獣避け線香を焚く旨を伝えておくと良いでしょう。
線香の代わりに使える臭い4選
害獣避け線香以外にもハクビシン避けの臭いには、トウガラシ、ニンニク、石油、木酢液、天敵となる動物の臭いが効果的です。
トウガラシ、ニンニク
害獣避け線香に含まれているだけあって、トウガラシのカプサイシンはハクビシン対策に効果抜群です。ニンニクを傷つけると発生するアリシンの臭いも、ハクビシンは苦手としています。
トウガラシとニンニクはどちらも手に入りやすく安価ですが、臭いで害虫を引き寄せてしまう点がデメリットです。他にも、長期間使用を続けるとハクビシンが臭いに慣れてしまう、臭いが薄れやすいなどの問題点があります。
石油
石油は独特の強い臭いがあるため、ハクビシン対策に使えます。石油ストーブを使う家庭であれば、余った石油を有効活用できます。使い方は少量を布に染み込ませるか、カップに入れた石油をハクビシンの行動範囲に設置するだけです。
石油は蒸発しやすいのでこまめなチェックと追加投入が欠かせません。カップに入れた石油がこぼれないように、置き場所や容器に工夫をする必要があります。
木酢液
木酢液は木炭を作る際に発生した水蒸気を冷やし、回収した液体です。水で希釈して土に撒くと、土壌改良や害虫対策などの効果があるとされています。
木酢液は焦げ臭く酸っぱいような臭いがします。この臭いの元となる木タールはハクビシンに山火事を思い起こさせるので、ハクビシンの行動範囲に木酢液を散布すると忌避効果を発揮します。
竹酢液も木酢液と同様の効果を発揮します。どちらもドラッグストアで購入可能です。
天敵の臭い
ハクビシンは比較的大型の哺乳類ですが、自然界には様々な天敵がいます。
フクロウやタカなどの猛禽類、アライグマ、
オオカミ、犬などがハクビシンの天敵ですが、ハクビシン対策のためだけにフクロウや犬を飼うよりは、天敵の臭いがする忌避剤を使った方が手軽です。
天敵の臭いを使った市販の忌避剤として、ウルフピーが存在します。ウルフピーはオオカミの尿なので環境や人体に悪影響はありません。効果は2ヶ月程度です。
まとめ
当記事ではハクビシンに市販の線香が効くのかを解説してきました。
・ハクビシンに仏事用の線香は無効
・蚊取り線香は効果がかなり薄い
・害獣避け線香は有効だが屋内では使えない
夜行性のハクビシンは特定の臭いだけでなく大きな音や光も苦手としています。その他の対策グッズと線香を上手に組み合わせて、ハクビシンの追い出しと再発防止策を効率よく行いましょう。