ネズミの被害は、人間に害をもたらすものばかりです。糞害、家屋の損傷、病原菌の媒介、騒音によるストレス障害など、ネズミが原因で起こる被害は数多くあります。ネズミは、環境適応能力と繁殖能力に優れているため、さまざまな環境での繁殖が可能です。
今回は、ネズミの繁殖力と対策についてまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
ネズミの繁殖能力
日本には主に3種類のネズミが生息しており、人間に害を与えます。それぞれのネズミの繁殖能力は以下の通りです。
ネズミの種類 | 出産数(匹) | 寿命(年) |
ドブネズミ | 8~10 | 2~3 |
クマネズミ | 5~7 | 2~3 |
ハツカネズミ | 6~8 | 1~2 |
日本に生息しているネズミは、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種類おり、人間に害を与えるネズミとして広く知られています。それぞれ一度の出産数は異なりますが、妊娠期間はどれも20日ほどです。
ハツカネズミは繁殖能力が特に高い
ネズミは繁殖能力が高いことで知られていますが、中でもハツカネズミは繁殖能力が特に高い種類です。その理由として、妊娠期間が17〜20日で他の2種と比較すると短いということ、生後1ヵ月ほどで出産可能であるということが挙げられます。一度の出産で6〜8匹の子供を産み1ヵ月ほどで出産可能なので、1ヵ月で30匹以上増える可能性もあるのです。ハツカネズミの名前の由来は、妊娠期間が17〜20日間であることから来ています。
ドブネズミ・クマネズミの繫殖能力
ドブネズミとクマネズミは妊娠期間が20日ほど、生後3ヵ月ほどから繁殖が可能になります。一度の出産で産まれてくる子供は、ドブネズミが8〜10匹、クマネズミが5〜7匹です。ドブネズミは一度に出産する子供の数が3種類の中で一番多く、ハツカネズミの次に繁殖能力が高いネズミです。一方、クマネズミは一度に5〜7匹程度しか出産しません。3種類のネズミの中で一番繁殖能力が低いのが、クマネズミです。
一年間の出生数
3種類のネズミの一年間の出産数は以下のとおりです。
ネズミの種類 | 一年間の出生数 |
ドブネズミ | 330~ |
クマネズミ | 250~ |
ハツカネズミ | 400~ |
参考HP:駆除plus
それぞれのネズミが1年間合計6回の出産をすると想定した場合、上記のような数字になります。ドブネズミは330匹以上、クマネズミは250匹以上、ハツカネズミは400匹以上増える計算になり、どのネズミも繁殖能力は高いといえます。ハツカネズミは1年で400匹以上も増えるため、特に注意が必要です。
繁殖時期
ネズミの繁殖時期は主に2回です。冬が終わり少し暖かくなってきた3月〜5月頃と、夏の暑さも和らぐ10月〜11月頃が出産のピークになります。春の気温は15〜17度と人間にとっても過ごしやすい気温です。ネズミも一緒で、外での活動がほとんどを占めるネズミにとっては活動しやすい時期なのです。秋は24度〜19度と、この時期も暑すぎず寒すぎない季節なので、ネズミの繁殖しやすい時期でもあります。人間と一緒でネズミも活動しやすい気温の時には、繁殖活動が盛んに行われるので気を付けましょう。
ですが、冬の季節の繁殖には注意が必要です。
「冬の季節は寒くて繁殖なんてできる訳ない」と思うかもしれませんが、注意しなければいけないのは室内に侵入しているネズミです。室内では人間が暖房器具を使って温めているので、ネズミにとっては適温になってしまっている可能性もあります。通常は冬期間の繁殖は行われにくいですが、室内にいるネズミを放っておくと大変なことになるので、油断せずにしっかりと駆除を行う必要があります。
効果的なネズミ対策
ネズミの駆除に効果的な方法として、以下の方法があります。
- 粘着シート
- 殺鼠剤
- 忌避剤
- 超音波を使う
- ニンニク・唐辛子を置く
それぞれネズミの駆除に効果的ですが、どのような駆除方法なのか詳しく解説します。
粘着剤シート
粘着剤シートは、プロのネズミ駆除業者でも愛用されている効果的な駆除道具の1つです。頑丈な台紙の表面に強力な粘着のりが施されており、通ったネズミを捕獲します。製品にもよりますが耐水性の台紙を使っている物もあり、濡れている場所でも設置することができ便利です。また、四角に折りまげて筒状に設置することもできます。ネズミの通った形跡がある箇所に置くことで、効率良くネズミを捕獲することができるのです。
殺鼠剤
殺鼠剤はネズミの好む植物の種子や穀物類と、毒素成分を含んだ薬品と一緒に混ぜたものです。殺鼠剤に含まれている有効成分は、「ワルファリン」と「ジフェチアロール」があります。これらの成分をネズミが口にすることで徐々に衰弱していき、最終的には死亡します。
「ワルファリン」は、複数回摂取することでネズミが死亡する成分です。人間が摂取した場合、血液が凝固しにくくなります。ネズミにも同じ効果があり、摂取した場合は血液がとまらなくなり最終的には衰弱死するので効果的です。しかし、ワルファリンに抵抗性がある個体もいるので、効果が薄れてしまう可能性もあります。
「ジフェチアロール」という成分は、ワルファリンよりも毒性が強い成分です。一度口にすると体内で内出血が起こり、数日後には衰弱死します。警戒心が強いネズミでも一撃で致死率が高いことから、効果的な成分として殺鼠剤に多く取り入れられている成分です。ワルファリンとは異なり、抵抗性を示す個体にも効果を発揮しやすくおすすめです。
忌避剤
ネズミの嫌いな匂い成分を配合した駆除製品です。ネズミの嫌いな匂いにはハッカ、ハーブ、わさび、猫の匂いなどがあります。これらの匂い成分を人工的に配合することで、ネズミを駆除することができるのです。くん煙タイプ、スプレータイプ、ゲルタイプなど、さまざまな種類の忌避剤が開発されています。利用シーンによって使い分けることで、効率的にネズミを駆除することが可能です。どれも効果は高いですが、狭い場所での駆除にはくん煙タイプとスプレータイプ、広々とした場所ではゲルタイプがおすすめです。ネズミは非常に警戒心が強い動物なので、忌避剤のみではなく他の駆除道具と併用することで一層効果が増します。
超音波を使う
ネズミは聴覚も発達している動物です。超音波を使う方法も有効な駆除方法の1つになります。超音波は、聴覚が発達しているネズミにとって非常に耳障りな音です。超音波を発しているものから遠ざかるような行動を取るため、死体を見ずに駆除ができるというメリットがあります。しかし、超音波に慣れてしまい、安全な環境と認識されると効果が薄れる危険性もあるため注意が必要です。
ニンニク・唐辛子を置く
ネズミの嫌いな匂いの中に、ニンニクや唐辛子があります。市販のスーパーでも簡単に入手することができ、効果も高いので非常に有効です。ネズミ以外にもニンニクや唐辛子の匂いが苦手な動物は多いため、他の害獣にも効果があります。ネズミの居た痕跡を見つけたら、ニンニクや唐辛子を置いてみましょう。即効性は低いですが、匂いが強く永続性はあるので予防として置くことも効果があります。
まとめ
ネズミの繁殖能力は非常に強く、1年で250〜400匹の子供を産みます。特にハツカネズミは繁殖能力が強く、1ヵ月で30匹以上も増える可能性があるので注意が必要です。ドブネズミやクマネズミも一度に5匹以上の子供を産むため、見つけ次第早めに駆除しないと大変なことになってしまいます。
駆除方法として有効なものは、粘着シート、殺鼠剤、忌避剤、超音波などがありますが、ネズミの居た形跡を見つけたら、複数の駆除方法を組み合わせてなるべく早く駆除をしましょう。
繁殖時期の春と秋には、ネズミが活発に動き回ります。春と秋を狙って一気に駆除する方法もおすすめです。被害が拡大する前にしっかりと駆除をすることで、ネズミの繁殖を食い止めることができます。